民泊、都内で規制強まる=住民苦情受け、新規営業禁止も



「観光立国」を掲げる政府が、急増するインバウンド(訪日客)の受け皿として推進してきた民泊。宿泊者の迷惑行為に住民からの苦情が相次ぎ、東京都内の自治体を中心に住宅地での新規営業を禁止するなど規制強化の動きが広がっている。

住宅宿泊事業法に基づく民泊は2018年6月に始まった制度。26年7月時点の届け出住宅数は4万件、4~5月の延べ宿泊者数は174万人を超える。

このうち届け出住宅数が全国最多3775件(26年7月時点)の新宿区では、宿泊者によるごみ出しや騒音を巡るトラブルが年々増加。区に寄せられた相談や苦情の件数は25年度、1300件を超えた。「夜中にキャリーケースを引く音が響く」「利用者が間違って訪問してきた」といった声も寄せられた。

区は苦情に適切に対応しない事業者に対し、行政指導や処分を行う権限を持つが、夜間などは実態を把握するのが難しい。連絡が取れない事業者も少なくなく、対応する保健所の業務が逼迫(ひっぱく)しているという。

このため区は、関連する条例の改正案を来年2月区議会に提出し、住宅地や学校周辺での新規営業を原則禁止する。同年6月の施行から2年間の経過措置を設けた後は、営業中の既存施設にも適用する方針で、区内の約半数の施設が営業できなくなる見込みだ。

吉住健一区長は「事業者の反発は大きいと思うが、業界が招いた事態だ」と指摘。「違反施設は後を絶たない。区の人的資源には限りがあり、管理が行き届くようにしたい」と話す。

上野や浅草など人気の観光地がある台東区、羽田空港がある大田区も、それぞれ住宅地での新規営業を禁止する条例改正を目指す。渋谷区の担当者も「全ての民泊が悪いというわけではないが、適正に運営できている事業者は少ない」と話し、今後規制強化に向け対応を検討する構え。都外でも、京都市が住宅地や工業地域での新規開業を事実上禁止する方針だ。

こうした動きは、観光庁が今年7月に自治体向けの通知を出したことによるもの。政府は従来、民泊を振興する観点から規制に慎重だったが、通知では、地域の住環境や教育環境が損なわれる場合、条例により民泊営業を実質的に禁止できると説明。自治体の実情を踏まえ、姿勢を転換した。

観光庁は一方で、今後も民泊の需要は増加するとみて、自治体による悪質事業者の取り締まりを支援する。夜間に住民からの苦情を受け付けるコールセンターを設置し、情報を新宿区など3自治体に提供する実証事業に乗り出す方針。適切な指導や処分の手法を確立する考えだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕東京都新宿区役所=東京都新宿区

2026年09月22日 20時48分


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