期待と不安が交錯=原発再稼働容認で新潟県民



東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を巡っては、新潟県が行った意識調査で県民の賛否が拮抗(きっこう)している。それぞれの立場の県民に話を聞いた。

原発再稼働を推進してきた地元の経済団体「柏崎エネルギーフォーラム」会長の高橋武さん(53)は、「原発の立地地域は田舎で、問題を抱えている地域ばかりだ」として、再稼働による雇用創出や人口増加などに期待を寄せる。

事故の可能性については「恐怖心がないと言ったらうそになる。ただ、墜落する可能性があるから飛行機に乗らないことはないのと一緒。最後は東京電力の取り組みを信用するしかない」と話す。

花角英世知事の容認表明までの経緯を振り返り、「慎重にやり過ぎ。国がOKしているのに、なぜ運転できないのか分からない」とした上で、「表明したからには、早く周知して理解を広げるのが首長の仕事だ」と注文を付けた。

一方、原発事故後に福島県大熊町から新潟県阿賀野市に避難してきた大賀あや子さん(52)は、「新規制基準をクリアしたから(容認する)というのは、新たな安全神話ではないか」と懸念している。

東京都出身で、原発反対運動に参加するため福島に通ううち、田園風景や住民の気さくさに引かれ、1995年に移住。原発事故当時は、建てたばかりの新居への引っ越し準備をしていたところだった。帰還困難区域内にあったため、戻れないまま14年が経過した。

今でも3月11日にはつらい気持ちになるといい、「(原発事故を)繰り返さないための一番の方法は、(原発を)動かさないことだ」と強調。「再稼働の是非は県民に信を問う」と掲げた知事が県議会で県民の意思を確認するとしたことに「公約破りではないか」と不信感を示した。

〔写真説明〕取材に応じる「柏崎エネルギーフォーラム」会長の高橋武さん=17日、新潟県柏崎市 〔写真説明〕福島第1原発事故を受けて新潟県に避難した大賀あや子さん。手にしているのは2018年の県知事選で花角氏陣営が掲載した新聞広告=20日、新潟市

2025年11月22日 07時16分


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