
和歌山県田辺市で2018年5月、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の会社経営野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして、殺人などの罪に問われ、一審で無罪となった元妻須藤早貴被告(29)の控訴審第1回公判が8日、大阪高裁(村越一浩裁判長)であった。検察側は「一審判決には事実誤認がある」として破棄を求め、弁護側は改めて無罪を主張し、即日結審した。判決は来年3月23日。
検察側は新たな証人尋問や証拠調べを求めたが、いずれも却下された。
事件では被告の関与を示す直接的な証拠はなく、控訴審でも状況証拠の評価が争点となった。
公判で検察側は「一審判決は被告の動機や目的、計画性を推認できる証拠を総合的に評価していない」と指摘。「重大な事実誤認があり、破棄は免れない。適正な判決を求める」と述べた。
弁護側は、裁判員裁判で無罪が言い渡された事件の控訴審は「一審の事実認定が不合理なことを具体的に示す必要がある」と強調。「この程度の検察側の立証で有罪とされる社会になってはならない」と訴えた。
〔写真説明〕大阪高裁
2025年12月08日 18時42分