
国境をまたいだ組織的な詐欺に対抗するため、警察庁は10日、犯行拠点が多い東南アジアの警察当局などを招き、「アジア詐欺対策国際会議」を東京都内で開いた。同庁の楠芳伸長官は基調講演で「協力関係を深化させ、犯罪組織の撲滅に向け共に立ち向かっていこう」と連携を呼び掛けた。
警察官を装う詐欺などは、東南アジアの拠点から国際電話で行われる事例が多い。2024年以降、カンボジアやフィリピンなど5カ国の現地当局は、日本人が関与する犯行拠点を6件、計104人摘発。警察庁は、捜査で得た情報を提供するなど関係を強めている。
楠長官は「われわれは共同オペレーションのため、情報共有をさらに活発にすべき段階に入った」とし、拠点摘発の際に現地で一緒に作業できる体制の整備や、日本から分析情報を伝えた取り組みなどを紹介。「スマホ1台で世界中どこからでも詐欺ができる時代だ。各国が協調し、犯罪者を逃がさないための網を世界中に張り巡らせる必要がある」と強調した。
〔写真説明〕「アジア詐欺対策国際会議」で基調講演する警察庁の楠芳伸長官(中央)=10日午後、東京都港区
2025年12月11日 07時57分