「特定失踪者」、救出活動に影響=家族高齢化、支援の広がり願う



北朝鮮による拉致問題が思うように進展しない中、拉致の可能性を排除できない「特定失踪者」の家族の高齢化が進み、活動に影響が出ている。5日には、民間団体「特定失踪者問題調査会」の発足当初から積極的に参加していた秋田美輪さん=失踪当時(21)=の父正一郎さん(93)が死去。美輪さんの姉らは「家族に頼る活動は限界が近い」と支援の広がりを願っている。

美輪さんは1985年12月、通っていた神戸市内の女子大を出た後、「友人宅へ泊まる」と母親に電話したのを最後に行方不明になった。翌日に兵庫県の日本海側で靴などが見つかり、県警は自殺の可能性が高いと判断したが、バッグに未使用の鉄道の切符があるなど不審な点が多かった。

調査会によると、正一郎さんは関西在住家族の中心的存在で、2003年の発足時から署名活動などに尽力。調査会が運営する北朝鮮向けの短波放送番組には、他の家族に先駆けて「あなたのコーヒーを飲みたい。元気かどうか教えて」と娘へのメッセージを寄せた。

正一郎さんと共に活動してきた妻嶺子さんも22年に88歳で他界した。美輪さんの姉、吉見美保さん(65)=愛知県大府市=は、嶺子さんと台所に並んで好きな料理を作っていた妹の姿が忘れられないという。「家族に会えずつらい思いをするのは私で最後にしてほしい」と訴える。

吉見さんは署名や国連での陳述などの活動に携わってきたが、子ども世代に引き継げない家族もいる。調査会によると、現在表立って活動に参加している親世代は数人にとどまる。

政府認定の拉致被害者は17人だが、警察が「拉致の可能性を排除できない」とする行方不明者は計871人に上る。同会の荒木和博会長は「身近で大きな問題。事態が動かず、風化していくのが怖い」と危機感を募らせている。

〔写真説明〕「特定失踪者」秋田美輪さんの父正一郎さん(右)と、母嶺子さん(姉の吉見美保さん提供)

2026年02月14日 07時09分


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