発達障害受刑者の社会復帰支援=大阪刑務所がモデル事業―拘禁刑導入1年



懲役刑と禁錮刑を一本化した拘禁刑の導入から6月1日で1年。受刑者の特性に応じた柔軟な処遇が図られる中、大阪刑務所(堺市)は発達障害の受刑者らの社会復帰を支援するモデル事業に取り組んでいる。自己理解の促進や協調性向上に重点を置いた指導、教育を実施。担当者は「孤立を防ぎ、再犯防止につなげたい」と話している。

法務省によると、2023年5~6月に一部の受刑者(計877人)を対象にした調査では、発達障害かその疑いがあったのは約12%だった。大阪刑務所では、受刑者の一部に「刑務作業のペースについていけない」「対人関係がうまく築けない」などの声があったことから、24年12月にモデル事業が始まった。

今年2月下旬。大阪刑務所の一室では受刑者11人と教育専門官が車座になり、自分の性格や他人からどう接してほしいかなどを発表していた。受刑者の1人は「感情がすぐに顔に出る」と発言。他の受刑者から「感情が出ていたら『ちょっと落ち着いて』と言ってほしいということか」と聞かれ、「気付いたら落ち着くように言ってほしい」と答えた。

窃盗などで2回目の服役となる30代受刑者は取材に、「(以前は)他人との認識のずれで困っていたが、相手の気持ちを想像できるようになり、コミュニケーションが取りやすくなった」と感想を語った。

教育専門官は「被害者の痛みを理解する前提として、自分の特性や考え方の癖に気づくことが重要だ」と指摘。「この場で起きる出来事は社会でも起きる。目の前のやりとりを大切にしている」と話す。

事業では環境面での取り組みも。居室にぬいぐるみを置いたほか、廊下には観葉植物を配置して、壁面に小鳥のシールを貼るなど、気持ちを落ち着かせる工夫がされている。

大阪刑務所の担当者は「自分本位に考える傾向があった受刑者が課題に向き合うようになった」と強調する。法務省は、他の刑事施設にも事業を広めていきたいとしている。

〔写真説明〕自己理解の促進などに重点を置いた指導に、メモを取りながら向き合う受刑者ら=2月26日、堺市 〔写真説明〕受刑者らを指導する教育専門官(中央)=2月26日、堺市 〔写真説明〕刑務所内のモデル事業専用エリアに配置された観葉植物=2月26日、堺市 〔写真説明〕受刑者に落ち着いてもらうための居室=2月26日、堺市

2026年06月01日 10時08分


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