「巌は無実なので無罪です」。22日、静岡地裁で結審した袴田巌さん(88)の再審公判。代理で出廷した姉のひで子さん(91)は、閉廷後に静岡市内で開かれた記者会見で、改めて袴田さんの無罪を主張した。
白色のジャケットに黒いズボン姿のひで子さんは午前10時20分ごろ、弁護団とともに笑顔で地裁の建物へ入った。
最終意見陳述で証言台に立つと、袴田さんが獄中で母親に書いた手紙の一部を、時折声を震わせながら朗読。その上で「まだ巌の心は癒えておりません。私も一時期、夜も眠れなかったときがありました」などと訴えた。
閉廷後の会見では「58年は長かったけれど、知らぬ間に過ぎてしまった」とこれまでを振り返った。家を出る際、「静岡に行くのはきょうでおしまいだ」と伝えたところ、袴田さんは「そう」と相づちを打ったという。
死刑求刑については「検察の都合で死刑にしていると思っている」と語った。弁護団の小川秀世事務局長は「(袴田さんは)世の中に関心がなくなっている。死刑判決の冤罪(えんざい)は、こういうダメージを与えてしまう」と憤った。
〔写真説明〕袴田巌さんの再審公判結審後、弁護団の記者会見に出席した姉のひで子さん(右端)=22日午後、静岡市
2024年05月22日 20時22分