
銀メダルの喜びよりも、悔しさが勝った。チームメートから祝福された二階堂蓮(24)=日本ビール=は「声は聞こえていたが、言葉が出なかった」。あまりのショックに、しばらく動けなかった。元ジャンパーの父の学さんに「上出来だ。頑張った」とねぎらわれた。抱き合うと、目には光るものがあった。「あんまり泣くタイプじゃないが、父さんの顔を見たら我慢できなかった」。
1回目、踏み切りで鋭く飛び出すと、飛躍後半に体をふわりと浮かせてヒルサイズに迫る140メートル。首位に立って右の拳を振り下ろした。2位のドメン・プレブツ(スロベニア)とは7.0点、距離にして約4メートル差。「金メダルが取れる」と意識した。
最終ジャンパーとして迎えた2回目。1人前のプレブツが最長不倒の141.5メートルをマークした。高鳴る鼓動を感じながら、スタート地点ではリラックスしようと、いつも通り笑みを浮かべた。
勝負のジャンプ。空中で左の板が下がっているのに気付いた。「うわ、やってしまった」。十分な揚力を得られず失速して136.5メートル。好飛躍ながらライバルには6.8点及ばなかった。
頂点には届かなかったが、年明けのジャンプ週間でワールドカップ(W杯)初勝利を挙げたばかり。わずか1カ月半での成長ぶりは目を見張るものがある。作山憲斗ヘッドコーチによれば、1回目の飛躍後、各国のコーチから「信じられない。本当にすごいぞ」と声を掛けられた。「4年前の僕からしたら、あり得ない話」と二階堂自身も驚く成長スピード。確かな実力を世界に示した。
今大会は個人ノーマルヒル、混合団体での銅に続く3個目のメダル。もう銀じゃ満足できない自分がいる。残す試合は小林陵侑(チームROY)と組むスーパー団体。「絶対に金メダルを取りにいく」。そう誓った目に涙はなかった。
【時事通信社】
〔写真説明〕ノルディックスキー・ジャンプ男子個人ラージヒル、銀メダルが確定し、悔しそうな表情の二階堂蓮(中央)。左は小林陵侑、右は中村直幹=14日、プレダッツォ
〔写真説明〕ノルディックスキー・ジャンプ男子個人ラージヒルの表彰式に臨む銀メダルの二階堂蓮=14日、プレダッツォ
2026年02月15日 19時01分