
自分の存在を忘れるな。阪神の前川は、そう言わんばかりに拳を強く握った。九回の絶好機に代打で出場し、逆転を呼び込む値千金の二塁打。「今年の初安打がこのような形で貢献できて、めっちゃうれしい」。出遅れを取り戻すには最高のアピールとなった。
敵地を悲鳴に包んだ。九回に1点差に迫り、なお2死一、三塁。中日の守護神、松山が投じた初球のフォークをひるまずに振り抜く。右翼手が打球処理にまごつく間に一塁走者も生還。「浮いたボールを打てた。きょうはよかった」と笑う。
2024年に生きのいい若手として鳴らしたが、昨季は69試合の出場で打率2割4分6厘と苦しんだ。5年目の今季は開幕1軍入りを逃し、7日に昇格したばかり。「いろんな先輩が『こつこつ頑張れ』と言ってくれた。丁寧に自分のやるべきことをやってきた」と成果を示した。
優勝した昨季、中日とは12勝13敗。セで唯一負け越していた。そんな相手に全力で挑んだ22歳は「まだ安打1本なので、これから積み上げたい。悔しい思いをたくさんしているので、ぶつけていきたい」。この一打は、今後の巻き返しにつなげてこそ価値がある。
【時事通信社】
〔写真説明〕9回、適時二塁打を放つ阪神の代打・前川=10日、バンテリンドーム
2026年04月10日 22時33分