
あと1分―。試合終了まで耐えれば「新たな景色」が見えた33年前と、その可能性があった8年前。今大会のブラジル戦もそうだった。サッカーの神様は、日本にまた試練を与えた。
森保監督も経験した「ドーハの悲劇」。後半45分を回ったCKから失点し、直後に試合が終わった。1994年米国大会で悲願のW杯初出場を果たす夢は、無残にも散った。
もう一つの悲劇は前々回のロシア大会決勝トーナメント1回戦。2―2からベルギーのすさまじい速攻を受けて逆転を許した。4分と表示された後半の追加タイムが終了目前での失点。初の8強入りは、三たび絶たれた。
そして今回のブラジル戦。猛攻を受ける中、ようやく奪い返したボールをつなごうとした矢先に、奪い返されて痛恨の決勝点を決められた。残り1分を耐えていれば、延長戦突入という時間だった。
三つの悲劇に共通するのは、不用意なボールロストが起点になっていること。だが、今回違うのは苦しい状況を打開しようと、ボール保持を試みて時間をつくろうとした点にある。あの王国ブラジルに対し、かつての日本ならその勇気は持てなかったはずだ。
「悲劇」を繰り返しても、日本サッカーは着実な進歩を見せている。ドイツ、スペインを倒して「番狂わせ」と言われた前回から、今回は「ダークホース」として優勝候補にも挙げられた。
オランダは日本に対して全員が下がって守り、ブラジルを率いる名将アンチェロッティ監督も、日本を侮るそぶりは全く見せなかった。「世界のトップ10に間違いなく近づいてきている」と森保監督。あと1分の先にある景色を目指し、日本の挑戦は続く。
【時事通信社】
〔写真説明〕ブラジル戦、後半終了間際に決勝ゴールを決められる日本。手前はGK鈴木彩=6月29日、ヒューストン(ロイター時事)
〔写真説明〕ロシア大会のベルギー戦後半、決勝ゴールを決められた日本=2018年7月、ロシア・ロストフナドヌー
2026年07月03日 07時36分