日印首脳「蜜月」関係演出=対中で温度差、米国も波乱要因



【ニューデリー時事】高市早苗首相は2日の日印首脳会談で、「相互補完的協力」の強化で合意するなど、両国の「蜜月」関係を演出した。経済的威圧を強める中国への対抗を念頭に、インドを自由主義陣営に引き寄せる狙いがある。ただ、「非同盟」を掲げるインド外交は「したたか」とされ、関係深化は一筋縄では進みそうにない。

「兄と妹として付き合いを続ける約束をした。兄と共に日印関係を新たな高みへ引き上げる」。高市氏は会談後の共同記者発表で、「美しき妹」と語り掛けるモディ首相にこう笑顔を向けた。

インドは世界最大の14億超の人口を抱え、世界第5位の経済規模を誇る「グローバルサウス(新興・途上国)」の代表格だ。日本とは民主主義などの基本的価値を共有。モディ氏は昨年3月にグローバルサウス・インド太平洋向け協力構想「MAHASAGAR」を提唱しており、高市氏は進化版「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の重要なパートナーと位置付ける。

両首脳の会談は昨年11月にヨハネスブルクで短時間意見交換して以来。日本が中国によるレアアース(希土類)などの対日禁輸に苦しむ中、インドも中国と国境問題や貿易摩擦を抱えており、両首脳は対中国を念頭に、重要物資のサプライチェーン(供給網)強化などを確認した。

高市氏の初訪印には日本企業約150社が同行し、両国の緊密な関係をアピール。日本政府関係者は「日本にしかない強みがある」と語り、インドとの関係深化に期待をにじませた。

もっとも、思惑通りに進むかは見通せない。インドは伝統的に「全方位外交」を掲げ、新興国グループ「BRICS」の一員として中国とも一定の関係を保つ。ロシアとは東西冷戦時代から軍事面などで友好関係を維持している。モディ氏は共同記者発表で「自由で繁栄したルールに基づくインド太平洋こそ優先目標」と首相と足並みをそろえたが、中国を名指しするのは避けた。

首相は今回の訪印で日米豪印の枠組み「クアッド」構成国を一巡した形になり、日本外務省幹部は「クアッド制覇だ」と胸を張った。しかし、トランプ米政権下で米印関係はぎくしゃくしており、両首脳は共同記者発表でクアッドに言及しなかった。

外務省幹部は「日本にはインドが必要、インドには日本が必要というのが相互補完的協力。一歩一歩強化していくしかない」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕共同記者発表をする高市早苗首相=2日、ニューデリー(AFP時事) 〔写真説明〕共同記者発表に臨むインドのモディ首相(右)と高市早苗首相=2日、ニューデリー(AFP時事)

2026年07月03日 07時07分


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