【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦を受け、特に激しい戦闘が行われた北部から避難していた住民らの帰還が27日に始まり、同日だけで30万人以上が元の居住地域に戻った。AFP通信がガザ当局の話として報じた。
2023年10月に始まったガザの戦闘では、全人口230万人の多くが家を追われた。これまで住民の帰還を阻止していたイスラエル政府は27日未明、避難民の北部への移動を認めると発表。ガザ当局は最大65万人が移動を計画していると明らかにしていた。
北部のガザ市では、イスラエル軍の攻撃で破壊されたとみられる建物の前で、「ガザへようこそ」と書かれた新しい横断幕が掲げられた。帰還した女性、イワディさん(22)はAFPに対し「きょうは人生最高の日だ。魂や命が再び戻ったような感覚だ」と喜びを表現。「たとえ泥や砂であっても、自宅を作り直す」と語った。
ガザ当局によると、ガザ市を含む北部地域では帰還者のために13万5000張りのテントが必要になるという。
ハマスは住民の帰還が実現したことについて「(イスラエルによる)占領や(住民の)追放というたくらみが崩れ去ったことを意味する。パレスチナ人の勝利だ」と誇った。
一方、イスラエル政府報道官は27日、ハマスが停戦合意に基づく「人質交換」で解放する33人の人質のうち、8人は既に死亡していると発表した。ハマスはこれまでに女性7人を解放済みのため、18人が生存していることになる。
【時事通信社】
〔写真説明〕27日、パレスチナ自治区ガザの南部から北部に向かって歩く避難民ら(AFP時事)
2025年01月29日 12時43分