【キーウ時事】ロシアがウクライナ侵攻を開始して24日で3年を迎える。「24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語したトランプ米大統領が1月に就任したのを機に、停戦を模索する動きが活発化した。しかし、トランプ氏の「予測不能」な言動に世界は翻弄(ほんろう)され、戦争の出口は見えないままだ。
「選挙イヤー」とされた2024年を経て、ウクライナを巡る状況は大きく変化した。昨年11月の米大統領選では、ウクライナ支援に積極的だったバイデン前大統領の後継者であるハリス前副大統領が敗北し、ロシアに融和的なトランプ氏が復権。同氏は今月、ウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と呼び、「戦争を始めるべきではなかった」と主張した。支援の前提を崩す放言に欧州は困惑し、先進7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)の結束は揺らいでいる。
昨年3月のロシア大統領選で勝利したプーチン大統領は通算5期目に入り、権力の基盤固めを進めた。反戦デモを許さないために言論統制を強化。停戦交渉をにらみ、有利な条件を整えようとウクライナに対する攻撃を激化させた。
一方、戦争の長期化はウクライナに影を落としている。人命の損失が積み重なり、英メディアによれば開戦時に90%あったゼレンスキー氏の支持率は今年1月に50%台まで低下した。
ゼレンスキー氏は戒厳令の下、昨年行われるはずだった大統領選を延期。選挙が行われれば、国民的人気が高いザルジニー前総司令官に敗れる可能性が高いという世論調査もある。
ロシアのペスコフ大統領報道官は「支持率低下は明らかな傾向だ」と「反ゼレンスキー」情報戦を展開。トランプ氏は根拠を示さず、ゼレンスキー氏の支持率が「4%まで落ちている」とこき下ろした。
ゼレンスキー氏は、ロシアに同調して政権の「正統性」を疑問視するトランプ氏を「偽情報の空間に住んでいる」と非難した。だが、劣勢打破の糸口を見いだせない戦況と揺らぎつつある政権基盤に対する焦りも指摘されている。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領=21日、ワシントン(AFP時事)
2025年02月23日 07時09分