【ソウル時事】韓国大統領選(6月3日投開票)を巡り、保守系与党「国民の力」執行部は10日未明(日本時間同)、同党大統領候補に選出されていた金文洙前雇用労働相(73)の公認を取り消し、新たな候補を選ぶことを決めた。無所属で出馬表明した韓悳洙前首相(75)を公認し、10、11両日の候補者登録の期間中に手続きを終える方針だ。ただ、正式な手続きで決まった大統領候補を事実上、執行部主導で交代させる異例の事態で、党内の対立や混乱が続きそうだ。
金氏と韓氏は9日まで保守系候補統一に向けた協議を行ったが、決裂した。京畿道知事などを歴任したベテランの金氏は予備選を経て、3日の党大会で公認候補に選出された。金氏は10日の記者会見で「正当に選出された私の候補の資格が不法に剥奪された」と執行部の決定に反発。「不法で不当な候補の交代に対する法的、政治的な措置に直ちに着手する」と表明し、法廷闘争を示唆した。
一方、韓氏は2022年の尹錫悦前政権発足当初から首相を務めた。10日の声明で、与党に入党したと発表し、党員に向けて「団結しよう。一つになれば勝てる」と強調。「私は突然、外から来た傭兵(ようへい)ではない。この3年間、野党の暴走に対抗して、皆さんと共に闘ってきた同志だ」と呼び掛けた。
次期大統領に誰がふさわしいかに関する8日発表の世論調査「全国指標調査」によると、革新系最大野党「共に民主党」候補の李在明前代表(60)が支持率43%で先行。韓氏の23%に対し、金氏は12%と引き離されている。与党内では形勢を逆転するため、中道層への支持拡大が期待される韓氏への一本化を求める声が高まっていた。
【時事通信社】
〔写真説明〕韓国の韓悳洙前首相=7日、ソウル(AFP時事)
2025年05月10日 11時11分