石破政権、参院選への影響懸念=米関税交渉、立民代表が批判



トランプ米大統領が日本の輸入品に8月から25%の関税を課すと表明したことを受け、政府・与党は20日投開票の参院選への影響を懸念している。野党は「全然交渉が進んでいない」(立憲民主党の野田佳彦代表)として厳しく批判。関税の発動期限が事実上延長されたため、石破茂首相は交渉を継続して事態の打開を図りたい考えだ。

「誠に遺憾だ」。8日に開かれた政府総合対策本部で、首相はこう表明。記者団の取材には「8月1日という新たな期限に向け日米間の協議を行い合意を目指す」と強調した。

赤沢亮正経済再生担当相は4月から7回訪米してベセント米財務長官らとの協議を重ねてきたが、交渉は難航。トランプ氏は7日の書簡で、相互関税の上乗せ分を合わせた24%よりも高い関税率25%を新たに提示。日本側は一連の措置撤廃を求めていたが反映されなかった。

石破政権にとっては参院選のさなかに新たな要求を突き付けられた格好。自民党の参院中堅は「このタイミングでの衝撃は大きい。首相では交渉はだめだったとなりかねない」と指摘。別の参院中堅は「交渉がうまくいかなかったと野党に厳しく批判されれば、影響はある」と懸念を示した。

野党からは政府の対応に批判の声が上がっており、立民の野田氏は8日、札幌市で記者団に「何をやっているんだっていう気持ちが強い」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表は富山市で記者団に「何の成果も得られていない」と断じた。

関税率が実際に引き上げられれば、日本経済への打撃は必至。野党は追及を強めるとみられ、自民中堅は「野党にとって重要な攻撃材料」との見方を示す。このため、自民幹部は「どの党が交渉しても結果は同じだ。選挙の争点にはならない」と予防線を張る。

政府内には「延長戦に持ち込んだ」(現職閣僚)として、今後の交渉に期待する向きもある。赤沢氏は8日、さっそくラトニック米商務長官と電話で協議した。首相周辺からは「まとまらないと困るのは米国も同じだ。焦りもあるのだろう」との声も漏れるが、交渉は「トランプ氏次第」(外務省幹部)とも言え、先行きは不透明だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕米国による関税引き上げについて記者団の質問に答える石破茂首相=8日午前、首相官邸

2025年07月09日 12時35分


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