【ワシントン、サンパウロ時事】トランプ米大統領は9日、ブラジルに50%の関税を8月1日に課すとする書簡をSNSで公表した。4月に公表した相互関税率は一律分のみの10%で、その5倍となる。自身と親しいボルソナロ前大統領が同国で裁判にかけられていることを問題視。関税で不満を表明した。ただ、「内政干渉」との批判も出そうだ。
ブラジルのルラ大統領は関税通告を受け、「相互主義」に基づいて対処する方針を示し、対抗措置を講じる可能性を示唆した。トランプ氏は相手国が関税を引き上げれば、追加関税を課すと警告しており、貿易戦争に発展する恐れがある。
トランプ氏はブラジルへの書簡で、ボルソナロ氏に対する裁判を「魔女狩り」と批判し、すぐにやめるよう要求した。ボルソナロ氏は2022年にルラ氏に敗れた大統領選の結果を覆そうとクーデターを企てた罪などに問われている。
さらに、ブラジルのデジタル貿易が「米企業を攻撃している」などと主張。不公正な貿易慣行に対抗措置を講じることを定めた米通商法301条に基づく調査を指示すると明らかにした。
トランプ氏はこの日、ブラジルを含め計8カ国への関税を通知。スリランカのほか、リビア、イラク、アルジェリアにそれぞれ30%、ブルネイとモルドバに25%、フィリピンに20%の関税を課すと通告した。
これまでに公表された書簡は、日本に宛てたものを含め計22通。トランプ氏は欧州連合(EU)には10日に送付する意向を示している。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領=9日、ワシントン(EPA時事)
2025年07月11日 08時18分