地域政党「大阪維新の会」の吉村洋文代表(大阪府知事)が、大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」に再挑戦する可能性に言及している。日本維新の会は先の参院選で「副首都」を創設する構想を掲げており、その大前提として都構想を実現したい考えだ。しかし過去2度の住民投票で否決されており、懐疑論は少なくない。
「都構想と副首都はわれわれにとっての命題だ。皆さんと前を向いて進んでいきたい」。7月30日に開かれた大阪維新の会合で、吉村氏は党所属議員に呼び掛けた。
副首都構想は、首都機能をバックアップし日本の経済成長を促す拠点都市をつくるアイデア。これに絡み、吉村氏は「大阪府・市がバラバラでは副首都を担えない」と言及。都構想で二重行政を根本的になくすことが「副首都・大阪」実現への必要最低条件と位置付ける。
維新は今後1、2カ月で副首都構想の実現に向けた法案化作業を進める一方、都構想の新たな制度設計案も今秋までに策定する。維新の本拠地・大阪で党勢の陰りが指摘される中、「改革政党」を改めて打ち出す狙いがある。
ただ、維新の首長が大阪府・市のトップを独占して10年超。大阪・関西万博の誘致など実質的に府市一体で行政を進めており、都構想の意義は見えにくくなっている。さらに吉村氏は2020年の住民投票で否決された際、「僕が再挑戦することはない」と明言しており、整合性が問われることになる。ある府議は「今住民投票をやっても勝てる気がしない」と懸念を示す。
【時事通信社】
〔写真説明〕地域政党「大阪維新の会」全体会議であいさつする吉村洋文代表(大阪府知事)=7月30日、大阪市中央区
2025年08月13日 07時06分