政治は「生きる権利」保障を=舩後前参院議員インタビュー



体力的に2期目は難しいと7月の参院選に出馬せず、政界を引退したれいわ新選組の舩後靖彦前参院議員(67)が時事通信のインタビューに応じ、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う立場から「最期まで『生きる権利』を保障することが政治の役割だ」と訴えた。舩後氏は声を出して話せないため、インタビューは書面で行った。

―6年間の議員生活で印象に残ったことは。

私が議員になった後の2019年11月、医師がALSの女性患者を、依頼を受けて殺害する事件が起きた。インターネット上では「安楽死を法的に認めてほしい」「苦しみながら生かされるのは本当につらいと思う」という反応が多く出た。こうした考え方が難病患者や重度障害者に「生きたい」と言いにくくさせ、生きづらくさせる社会的圧力が形成されることを強く危惧する。最期まで「生きる権利」を保障することが政治の役割だ。

―当事者参画で国会のバリアフリー化が進んだ。

6年間でハード、ソフト両面で確実に改善された。後に続く障害のある議員に道を開いたと考えており、多様性のある国会、社会につながると確信している。一方で、いまだに厚生労働省は(障害者総合支援法に基づく)「重度訪問介護」をそのまま(議員活動など)仕事や通学に使うことを認めていない。民間の立場から利用制限撤廃に取り組みたい。

―障害の有無にかかわらず子どもが同じ場所で学ぶ「インクルーシブ教育」の実現に取り組んだ。

なかなか進められなかった。合理的配慮や校舎のバリアフリー化など環境整備は一定程度進んだと評価できる面もあったが、分けた場所での特別支援教育からの転換は1ミリも進んでいない。子どもの数が減少しているのに、特別支援学校・学級で学ぶ子どもの数が急増し、分離が拡大している。じくじたる思いだ。

―訴えたいことは。

今回の参院選では医療費を抑えるため「尊厳死の法制化を含めた終末期医療の見直し」を公然と掲げる政党がいた。事故や病気で障害を持ち、働き盛りで仕事を辞めざるを得ないことは誰にでも起こり得る。誰もが最期まで、その人の持つ可能性を生かせる社会にすることが政治の役割であるはずだ。

―引退後の活動は。

地元の千葉県松戸市で医療的ケアの必要な障害児支援や高齢者介護などに当事者の目線から関わっていく。フェイスブックの内容の改修も進めている。地域とのコミュニケーションを図るのに、意味のあることと考えている。

【時事通信社】 〔写真説明〕参院本会議で代表質問する舩後靖彦氏(中央下)=2023年1月、国会内

2025年09月08日 07時05分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース