少数与党で「石破カラー」苦心=首相、関税・米価は一定成果



石破茂首相は11カ月余りの政権運営で、日米関税交渉や米価抑制では一定の「成果」を挙げた。ただ、昨年10月の就任直後に踏み切った衆院選で大敗。少数与党となったため野党との妥協を強いられ、「地方創生2.0」や防災庁設置といった「石破カラー」の政策を十分には実現できなかった。

日米交渉を巡り、首相は担当閣僚に最側近の赤沢亮正経済再生担当相を指名。赤沢氏が計10回の訪米を強いられる難交渉となった。5500億ドル(約80兆円)もの対米投融資を約束し、「合意」したと発表しながら両政府の認識のずれが表面化するなど曲折を経て、自動車などの関税を15%に引き下げることで決着した。

米価高騰では、小泉進次郎農林水産相に指示し、備蓄米を随意契約で大規模に放出。コメ5キロ当たりの平均価格を3000円台に下げた。

一方、国会では野党との政策協議に追われた。2024年度補正予算を成立させるため、日本維新の会が求めた教育無償化に向けた協議入り、国民民主党が主張した所得税の課税最低限見直しを受け入れた。

今年の通常国会では、維新と社会保障改革でも合意し、25年度予算案を修正。衆院通過後に高額療養費制度の見直し凍結に転換し、予算案を再修正した。年金制度改革関連法は立憲民主党と修正合意した。

首相が就任前後に掲げた主な政策のうち、自衛官の処遇改善は5月、手当新設などを盛り込んだ法改正を実現した。

だが、防災庁は26年度の設置に向けて方針は策定したものの関連法は改正できず、地方創生の具体策は交付金倍増にとどまった。アジア版NATO(北大西洋条約機構)は早々に封印。「政治とカネ」の問題への取り組みも期待されたが、指導力を発揮できなかった。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見で退陣する意向を表明し、質問に答える石破茂首相=7日午後、首相官邸

2025年09月08日 07時07分


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