石破茂首相(自民党総裁)が党内の「石破降ろし」の拡大を受け、退陣に追い込まれた。「三木降ろし」「大平降ろし」「森降ろし」―。自民では過去にも首相(党総裁)を引きずり降ろそうとする権力闘争が繰り返されてきた。選挙の敗北や政権運営への不満をきっかけに動きが加速し、首相らは「伝家の宝刀」の衆院解散や人事権で対抗してきた。(派閥名や肩書は当時)
三木降ろしは、金銭スキャンダル「金脈問題」で辞任した田中角栄氏の後を継いだ三木武夫首相を襲った1976年の倒閣運動だ。ロッキード事件の真相究明を掲げた三木氏に、田中派や大平派など非主流派が結束。過熱する退陣要求に対し、三木氏は衆院解散を模索したが閣内からも反対が上がり断念。戦後初となった任期満了の総選挙で惨敗し、総辞職した。
79年には「40日抗争」が勃発した。10月の衆院選で敗北した大平正芳首相への責任論が噴出。非主流派が党本部をバリケード封鎖するなど対立が激化し、翌11月の首相指名選挙では自民党から大平氏と福田赳夫氏の2氏が並び立つ異常事態となった。大平氏は翌年5月に衆院解散(ハプニング解散)に打って出たが、選挙期間中に急死した。
森喜朗首相は自身の失言や閣僚の不祥事で内閣支持率が急落。2000年11月、加藤紘一元幹事長が倒閣を目指し、野党提出の内閣不信任決議案に同調する動きを見せた「加藤の乱」が起きた。21年9月、新型コロナウイルス禍で支持率が低迷した菅義偉首相が解散・人事を封じられ、総裁選不出馬に追い込まれた。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見に臨む石破茂首相=7日午後、首相官邸
2025年09月08日 07時03分