自民党の高市早苗総裁は15日、日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)と国会内で会談し、新たな連立政権の発足を視野に、政策協議を始めることで合意した。16日に初会合を開く。高市氏は、臨時国会の首相指名選挙での協力も要請。維新が応じれば、首相選出の公算が大きくなる。
立憲民主、維新、国民民主3党も首相指名選挙の対応を巡り、党首会談を開催。立民側は野党候補の一本化を呼び掛けたが、基本政策を巡る溝から合意できず、幹事長間で協議を続けることとなった。
自・維党首会談で、高市氏は首相指名選挙を含め、連立に向けた協力を求めた。吉村氏は、維新が重視する「副首都」構想や社会保障改革の実現を主張。16日の政策協議には、自民側から高市氏と小林鷹之政調会長、維新側から藤田文武共同代表と斎藤アレックス政調会長が出席する。
会談後、高市氏は記者団に「基本政策はほぼ一致している」と強調。吉村氏は政策協議がまとまった場合、首相指名選挙で高市氏に投票するか問われ、「その考えでいい」と明言した。
高市氏はまた、国民民主の玉木雄一郎代表と会談し、首相指名選挙で自身への投票を要請。連立を念頭に「一緒に責任を担いたい」と訴え、所得税の課税最低ライン「年収の壁」引き上げに関する協議体設置を提案した。
これに対し、玉木氏は「まず信頼関係を醸成してほしい」と応じ、現時点で首相指名選挙の協力は困難だとの認識を示した。15日夜のユーチューブ番組では、自民と維新が連立政権を組んだ場合は「われわれが連立に加わる必要はない」と語った。
高市氏は、立民の野田佳彦代表とも会談。ガソリン税の暫定税率廃止や、「給付付き税額控除」の制度設計に向けた協力を確認した。
一方、野党3党首会談には野田、藤田、玉木各氏が出席した。野田氏は「野党が知恵を出し合えば政権交代できる」と強調。ただ、安全保障やエネルギーなどの政策で立民に方針転換を求める立場の玉木氏に対し、野田氏は「原発ゼロ」を掲げる党綱領を変える考えはないなどと回答した。
玉木氏は記者団に「20日にもう1回党首が集まり、判断しても遅くはない」と述べ、幹事長間の協議を見守る考えを示した。
これに先立ち、林芳正官房長官は衆参両院の議院運営委員会理事会に出席し、臨時国会を21日に召集すると伝達。自民側は衆院の理事会で、首相指名選挙を同日に行う日程を提案したが、野党側は回答を保留し、合意に至らなかった。
【時事通信社】
〔写真説明〕会談に臨む自民党の高市早苗総裁(右)と日本維新の会の吉村洋文代表=15日午後、国会内
〔写真説明〕党首会談に臨む(左から)国民民主党の玉木雄一郎代表、立憲民主党の野田佳彦代表、日本維新の会の藤田文武共同代表=15日午後、国会内
〔写真説明〕党首会談に臨む自民党の高市早苗総裁(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表=15日午後、国会内
2025年10月15日 23時04分