【ニューヨーク時事】米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループ(FBG)の経営破綻が、リスク資産を取引するクレジット市場に影を落としている。不透明な資金調達による債務膨張で信用不安が拡大。農林中央金庫と三井物産が出資するJA三井リースの子会社に加え、米投資銀行などによるFBGの債権保有が判明し、影響がじわりと広がる。
小売店にワイパーなどを納品するFBGは先月下旬、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を米裁判所に申請した。同社は、販売先からの未回収代金を担保に資金調達する手法などを活用。財務諸表には計上されないこれらの債務への懸念が高まった結果、資金繰りに行き詰まった。債務は100億~500億ドル(約1兆5100億~約7兆5600億円)とされるが、全容は明らかになっていない。
JA三井リースは10日、米子会社がFBGの債権計約14億ドル(約2100億円)を取得していたと公表した。「裁判所による精査の進捗(しんちょく)」を注視するとした。米投資銀ジェフリーズ・フィナンシャル・グループ傘下のファンドも債権7億ドル分を保有しており、一定の損失を被る可能性が指摘されている。
米メディアによると、司法省はFBG破綻について調査を開始。市場では、信用力を高めたいとの思惑から帳簿には載らない債務を膨らませたとの見方もある。
自動車関連では、低所得者(サブプライム)向けローンを手掛けるトライカラー・ホールディングスも先月、連邦破産法7条に基づき会社清算を申請した。トランプ政権が移民規制を強化する中、不法移民への融資を巡る懸念が高まっていた。金融機関から借り入れる際に不正行為を働いた疑惑も浮上している。
FBGとトライカラーの問題は現時点で金融システム全体には打撃を与えていない。ただ、実態不明な部分も多く、市場では「危機を知らせる前兆」(日系証券)との警戒感もくすぶる。
【時事通信社】
2025年10月13日 08時13分
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