政府が12月の第6次男女共同参画基本計画取りまとめに向けて行ったパブリックコメント(意見公募)に、選択的夫婦別姓制度に関する意見が殺到し、9割超が導入に否定的な内容だったことが15日、時事通信の調べで分かった。別姓に関する意見数は5次計画の際の30倍超に上った。
政府は8月、6次計画の素案を策定。夫婦の姓に関しては5次計画の内容を踏襲し「さらなる検討を進める」と記すにとどめた。意見公募は8月26日から9月15日にかけ、政府のウェブサイトで素案を提示した上で行った。
素案に寄せられた意見は約1万8900件。時事通信が集計したところ、このうち、夫婦の姓に関するものは約1万4040件に上り、夫婦別姓導入に否定的だったり反対だったりする意見が約1万3040件に達した。導入に肯定的な意見は約980件にとどまった。
否定的な意見としては「親子別姓になる」「家族崩壊につながる」などがあった。旧姓の通称使用拡大で十分だとする声もあった。肯定的な意見は「夫婦同姓の強制は人権侵害」などだった。
5次計画策定時に寄せられた意見は全体で約5640件。別姓に関するものは約450件で、数件を除いて導入に肯定的な内容だった。
有識者でつくる計画策定専門調査会が8日に開いた会合では、委員から「テンプレートのようなコメントも多い」と不自然さを指摘する声が上がった。選択的夫婦別姓の実現を目指す一般社団法人「あすには」(東京都新宿区)の井田奈穂代表理事は取材に対し、組織的投稿の疑いがあるとの見方を示した上で、「数の多寡ではなく、当事者の声が重要だ」と訴えた。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸=東京都千代田区
2025年10月15日 17時29分