日本、中長期の財政計画を=「金利ある世界」到来で―IMF財政局長



【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)のガスパール財政局長は15日までに時事通信のインタビューに応じ、日本を含む主要国の金利が上昇したことで、「世界の債務見通しとリスクは悪化した」との懸念を示した。債務水準が突出して高い日本に関し、低インフレや低金利が続いた過去の環境とは全く違うと強調。「金利のある世界」の到来を踏まえ、中長期を見据えた「複数年の財政計画」策定を提言した。

ガスパール氏は、「コロナ禍以降、金利は上昇し、債務も増え、利払い圧力は増している」と分析。低金利が常態化していたコロナ禍前とは「根本的に違う環境だ」と語り、債務リスクに強い警戒感をあらわにした。IMFは2029年に世界の債務残高が国内総生産(GDP)比で100%を超えると予想。第2次世界大戦直後を除けば過去最高水準になると見込んでいる。

日本は超低金利下で借金を重ねた結果、政府の総債務残高がGDP比で約230%と、突出して高い。インフレ率は日銀目標の2%を3年連続で上回っており、ガスパール氏は「過去10年と全く異なる」と指摘。人口減少や社会の高齢化に見舞われる中、「新たな環境に対処することが重要だ」と訴えた。

ガスパール氏は世界各国が財政政策運営の見直しを進め、「歳出の効率化」を目指す必要性を主張。日本に対しては、「複数年の財政計画を策定し、場合によっては超長期を視野に入れる」ことを提案した。

財政再建に向けた課題として、日本政府が断続的に実施してきたガソリン代などエネルギー関連の負担軽減策を挙げた。低所得の世帯や財務基盤の弱い企業に焦点を当てるといった「対象の絞り込みで改善を図ることができる」と言及。中小企業支援の簡素化も「質の高い公的投資支出の余地をつくり出す助けになる」との見方を示した。

ガスパール氏は元ポルトガル財務相。14年以降務めてきたIMF財政局長を今月退任する。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに応じる国際通貨基金(IMF)のガスパール財政局長=10日、ワシントン

2025年10月16日 07時23分


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