LO対策にAI活用も=要人警護、体制強化―安倍氏銃撃・警察当局



安倍晋三元首相の銃撃事件後、警察当局は特定組織に属さず単独でテロを行う「ローンオフェンダー(LO)」対策と、警護体制の抜本的見直しに取り組んできた。警察庁はLO対策に人工知能(AI)の活用を検討するなど、見えない脅威に備えを進めている。

事件を受け、警察当局は司令塔となる警察庁の対策室やLO捜査に専従する警視庁の「公安3課」などを新設。同課は地方の捜査員へのノウハウ指導も行う。対応に当たる全国の捜査員の人員は倍増した。

LOによる犯行の前兆をつかむ手掛かりの一つにSNSなどのネット投稿がある。全国の担当者が政治への不満やテロ称賛といった内容に着目して警戒。情報は警察庁に集約され、今夏の参院選では要人襲撃をほのめかす投稿者を特定し、居住地の警察が警告などを行った。

X(旧ツイッター)などの運営会社の協力も得るが、危険な投稿を把握するのに、人の目では限界もある。このため警察庁は来年度からAIでLOの可能性がある投稿を選別する実証試験を始める方針だ。

空薬きょうなど悪用の恐れがある商品のネット出品規制を業者に依頼したり、不動産業界と協定を結び異音など不審情報を集めたりし、テロを防ぐ環境整備も進める。

警護計画を都道府県警任せから警察庁の事前審査制にするなど警備体制も変化。練度の底上げと地域差是正のため、警護や警備に当たる警察官の熟練度を測る認証制度も導入した。

各管区警察局などで、要人警護や車両警備といった任務別の訓練を実施。対応するレベル認証を受けた者しか首相警護などに加われない仕組みだ。全都道府県警に指導もできる高レベルの捜査員を確保したという。

警察幹部は「次の事件を防ぐため、警備の穴をなくし、不断の見直しを続ける」と話している。

【時事通信社】

2025年10月29日 07時03分

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