政府が近く決定する経済対策の原案が11日、判明した。「物価高の影響を地域の実情に応じてきめ細かく緩和する対策を講じる」とし、自治体が使途を柔軟に決められる「重点支援地方交付金」を拡充するとした。プレミアム商品券の発行や、おこめ券、食料品クーポン配布などを想定する。
重点支援交付金の活用ではこのほか、中小企業の賃上げや設備投資を促す環境を整備。賃上げ促進税制を活用できない赤字企業も支援する。厳冬期の電気・ガス料金補助による「家計・事業者のエネルギーコスト負担の軽減策」も実施する。
危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現に向けては、(1)経済安全保障の強化(2)食料安全保障の確立(3)エネルギー・資源安全保障の強化(4)防災・減災・国土強靱(きょうじん)化投資の拡大(5)先端化学技術の開発支援など未来を切り開く投資の拡大―の5分野を柱に据えた。
米関税措置への対応では、影響を受ける中小企業の資金繰り支援のため、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」の利用要件を緩和。売上高や利益率が5%以上減少した事業者には金利を引き下げる。日米関税合意に基づく5500億ドル(約85兆円)の対米投融資を着実に進めるため、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)の財務基盤を強化する。
財政運営の方針は「足元で必要な政策を果断に実施するための歳出はちゅうちょせず行う」と明記。日銀に対しては「今後の強い経済成長と物価安定の両立の実現に向けて、適切な金融政策運営が行われることが非常に重要だ」とした。
【時事通信社】
2025年11月11日 22時38分
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