自民再生の道筋見えず=衆参少数、影落とす「政治とカネ」―結党70年



自民党は15日、衆参両院とも過半数を割る苦境の中で結党70年を迎えた。公明党が連立政権を離脱し、日本維新の会をパートナーに新たなスタートを切ったが、予算案や法案の成立に野党の協力が不可欠な状況は変わらない。「政治とカネ」の問題も影を落としたままだ。初の女性首相の誕生に世論の期待が集まる一方、党再生の道筋は依然として見えない。

「選挙に負ける時は、いつも『政治とカネ』が原因だ」。自民関係者はこう振り返る。

1983年の衆院選は、ロッキード事件を巡って田中角栄元首相が東京地裁で有罪判決を受け、強い逆風に直面。89年の参院選は、リクルート事件で金権政治への批判が高まった。2007年の参院選は、「消えた年金」問題の政治不信に加え、閣僚の事務所費問題が追い打ちとなった。

党派閥の裏金事件は、昨年の衆院選や今年の参院選を直撃。公明の連立離脱の引き金にもなった。

自民と維新を合わせても、衆院の過半数(233議席)に3議席、参院の過半数(125議席)に6議席、それぞれ届かない。そのため、高市早苗首相は政権基盤の安定に苦心。状況打開に向け、連立の枠組み拡大を視野に入れる。

ただ、政策面の近さから首相側が最も期待する国民民主党は、埋没の懸念もあって現時点での連立入りに慎重だ。自民重鎮は「当面、テーマごとに野党と協力していくしかない」との見方を示す。

高い内閣支持率を背景に早期の衆院解散・総選挙を望む声もある。しかし、公明の支援を受けられず、維新との選挙協力も不透明。その上、新興政党の台頭で多党化が進み、思惑通り過半数に届くかは見通せない。

仮に衆院選で勝利しても、参院は少数与党のままだ。参院は3年ごとに半数が改選されるため、過半数の回復には「最低でも6年かかる」(自民閣僚経験者)との見方が強い。

裏金事件を受け、野党は企業・団体献金の規制強化を求めるが、首相の動きは鈍い。政治資金収支報告書に不記載があった佐藤啓官房副長官の交代要求も拒否している。

「政治とカネ」に対する世論の視線はなお厳しい。首相が問題解決に消極的と映れば、高支持率という「追い風」が失われかねない。自民幹部は「高い支持率は、落ちるのも早い」と懸念を口にした。

【時事通信社】 〔写真説明〕自由民主党本部=12日、東京・永田町

2025年11月16日 07時04分


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