
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)が来月9、10両日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の引き下げを見送り、現行の年3.75~4.00%で据え置くとの観測がじわり浮上している。利下げで景気を刺激するとインフレ加速を招くとの懸念から、FRB高官が相次いで据え置き支持を示唆。米政府機関の一部閉鎖が解除されても重要物価統計は発表されておらず、拙速な追加利下げへの慎重な見方が強まっている。
今年のFOMCで投票権を持つボストン連邦準備銀行のコリンズ総裁は、12日の講演で「当面、金利を現行水準で維持することが適切な可能性がある」と明言。前回会合で据え置きを主張し、利下げに反対票を投じたカンザスシティー連銀のシュミッド総裁も14日、「利下げはインフレを長引かせかねない」と述べ、引き続き据え置きを訴える可能性を示唆した。
米国のインフレ率は3%近辺と、FRBが目標に掲げる2%を大きく上回って推移。「高過ぎる」(シュミッド氏)との警戒感は根強い。
人工知能(AI)ブームが株高をけん引し、金融市場の環境が良好なことも「経済成長には追い風」(コリンズ氏)。強い国内需要は鈍化基調にある雇用を支えるため、積極的な金融緩和は必要ないとの見方を強めているようだ。
過去最長の43日間で政府閉鎖は終了した。だが、10月分の米消費者物価指数(CPI)が発表されない公算が大きいこともFRBの政策運営に影を落とす。民間発表の指標では「雇用関連は多いものの、インフレ関連はほとんどない」(シカゴ連銀のグールズビー総裁)。コリンズ氏は「インフレの情報が限定的で、追加緩和はためらわれる」と話した。
一連の高官発言を受け、市場の利下げ観測も後退。金利先物から政策決定を予想するCMEグループの「FEDウオッチ」では、FRBが12月に3会合連続で0.25%の利下げを決める確率は低下し、14日時点で50%を割り込んだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)本部=ワシントン(EPA時事)
2025年11月16日 07時10分