
兵庫県議会から不信任決議を受けた斎藤元彦知事が失職に伴う知事選で再選してから17日で1年。斎藤氏は同日までに報道各社のインタビューに応じ「政策を着実に前に進めている」と強調した。ただ、県の第三者委員会から自身のパワハラや公益通報者保護法違反が問われた後も、斎藤氏は「対応は適切」と繰り返すなど混乱は尾を引き、県議会と斎藤氏との緊張関係も続く。
斎藤氏は再選後の成果として、知事選で掲げた若者支援策を挙げ、県立大の授業料無償化などに今後も取り組む考えを示した。
一方、失職のきっかけとなった告発文書問題では、第三者委と斎藤氏の主張が平行線をたどる。文書は斎藤氏のパワハラ疑惑などを記したもので、元県民局長(昨年7月死亡)が作成。斎藤氏は文書の作成者の特定を指示し、元県民局長を懲戒処分とした。第三者委の報告書はこれらの対応が保護法違反とし、斎藤氏の10件の行為をパワハラと認定した。
これに対し、斎藤氏はインタビューで「適切適法に対応してきた」と改めて反論しつつ、若手、中堅、幹部職員とのコミュニケーションの充実に力を入れる考えを示した。
問題を受け、昨年7月に辞職した片山安孝前副知事の後任人事は難航している。同県副知事の定数は条例で2人と定められているが、片山氏の後任は空席が続く。斎藤氏は「選任について熟慮を重ねている」としたが、ある県幹部は「しわ寄せを受ける職員にはストレスがたまっている」と明かす。別の幹部は「いつになったら混乱が収束するのか」とため息をついた。
議会との関係修復も道半ばだ。今年度当初予算は賛成多数で可決されたが、議会側には斎藤氏への不満がくすぶる。告発文書に関する調査特別委員会(百条委員会)で委員長を務めた奥谷謙一県議は「告発文書問題についていくら質問しても知事は本心で答えてくれない」と語る。
告発した元局長の私的情報が漏えいした問題を受け、斎藤氏が自身の給与カットを50%に拡大する減額条例改正案は、6月議会と9月議会の2回にわたって継続審議となった。議員からは「減給だけで幕引きは許されない」との声も漏れる。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに応じる兵庫県の斎藤元彦知事=14日、神戸市中央区
〔写真説明〕インタビューに応じる兵庫県の斎藤元彦知事=14日、神戸市中央区
2025年11月16日 07時05分