安倍氏銃撃「私が加害者」=母の証人尋問、脱会は否定―山上被告公判・奈良地裁



奈良市で2022年、安倍晋三元首相を手製銃で殺害したとして、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第8回公判が18日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれ、前回公判に続き、被告の母親の証人尋問が行われた。母親は、被告が事件を起こした原因について「私が加害者」と語った上で、被告に「申し訳ない」と繰り返した。

母親は信仰する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、「教会に尽くしたら家が良くなると思った」と説明。「献金に一生懸命になって大変な間違いをした。子どもに尽くすのが本当の道筋だったと思う」と悔やむ一方、「(教会から)ちやほやされるために献金した。教会が私に献金させた」とも述べた。

証言によると、海上自衛隊に入隊中の被告が2005年に自殺を図った際、母親は韓国にいたが、すぐに帰国しなかった。「神様から『帰るな』という声が聞こえた」と説明した。

自殺未遂後、被告の伯父が教団に抗議し、教団から計5000万円の返金を受けることになった。一部は被告に渡ったが、主には長男の治療費や予備校代などに充てられた。15年に長男が自殺した後、被告とは疎遠になり、事件を起こしたことはニュースで知った。

被告の性格について「根は悪い人間ではなく、本当は優しい子」とし、「私がしっかり対応できていれば事件は起こらなかった」と語った。一方、教団からの脱会について問われると「できればこのままでいたい」と否定的な考えを示した。

尋問終了後、「徹也には本当に申し訳ない」と謝罪。裁判官に制止されたが、「てっちゃんごめんね」と被告に語り掛け、法廷を後にした。被告は、眉間にしわを寄せ、うつむき加減で反応を示さなかった。

【時事通信社】 〔写真説明〕奈良地裁=奈良市

2025年11月18日 19時56分


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