政府に補正増額圧力=活気づく自民積極派



政府の総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案の編成を巡り、自民党内で増額を求める動きが活発化している。折しも、7~9月期の国内総生産(GDP)が6四半期ぶりにマイナス成長となるなど、景気の先行きへの不安もちらつく。高市早苗首相が掲げる「責任ある積極財政」の旗印の下、歳出圧力が強まりそうだ。

自民の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」は17日、臨時総会を開き、補正について「25兆円規模」を求める方向性を確認した。政府は24年度(13.9兆円)を上回る14兆円超とする方針だが、中村裕之共同代表は記者会見で「全く国民の期待に応えられない」とけん制した。

小林鷹之政調会長は先週、首相に経済対策の党提言を提出後、記者団に「規模感で財政当局と乖離(かいり)がある」と言及した。党日本成長戦略本部(本部長・岸田文雄元首相)は週内にも、補正の増額を政府に申し入れる構えだ。

17日に公表された7~9月期の実質GDP速報値は前期比0.4%減、年率換算で1.8%減だった。米国による関税措置の影響が本格化した形で、政府高官は「しっかりと経済対策で補っていく」と強調した。

日本維新の会も働き掛けを強めている。藤田文武共同代表は17日、首相と首相官邸で会談後、冬場の電気・ガス代支援について「(首相の)前向きな意向を確認できた」と記者団に語った。維新は、同日の自民との幹事長・政調会長・国対委員長会談でも支援拡充を訴えた。

先の国会論戦で、首相は財政健全化の指標となる国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)に関し、単年度の黒字化目標を取り下げる考えを表明。財政運営の「歯止め」を緩めるもので、積極財政派の期待は高まっている。過熱する動きに、自民ベテランは「底が抜けたようだ」と懸念を示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の総会を終え、記者会見する中村裕之共同代表(左から2人目)ら=17日午後、国会内

2025年11月18日 07時03分


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