台湾有事答弁、沈静化探る=高市政権、問題長期化を懸念



台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に中国が反発を強めていることを受け、高市政権は17日、外務省の金井正彰アジア大洋州局長を北京に派遣した。双方の応酬がエスカレートし、日中関係が想定以上に冷え込みかねないとの判断からだ。高市政権は「戦略的互恵関係」の重要性を訴えて事態の沈静化を探りたい考えだが、譲歩の余地は限られ、問題の長期化を懸念する声も出ている。

木原稔官房長官は17日の記者会見で、中国が日本への渡航を自粛し、留学を慎重に計画するよう自国民に呼び掛けたことについて「人的交流を萎縮させるかのような発表」と改めて批判。その上で「適切な対応を強く求めた」と強調した。

高市政権は表向きは強気の姿勢を崩していない。しかし、外交ルートでは冷静な対応を呼び掛け始めた。今月上旬に日本産水産物の中国への出荷が再開されるなど、日中関係は改善基調にあったが、自民党幹部は「事態を放置すれば、中国はさらなる対抗措置に出るだろう」と危機感を強める。

日本政府高官は「現状は過熱気味だ。ボルテージを抑えなければいけない」と金井氏派遣の狙いを語った。

もっとも、妥協点は見通せないのが実情だ。中国当局が答弁撤回を再三要求する中、首相周辺は「撤回はない」と改めて言明した。与野党の間では「汚い首は斬ってやるしかない」との薛剣・駐大阪中国総領事のSNS投稿に批判が強まっており、政権として弱腰と映る姿勢は見せられない。

「きょう、あすでは事態は動かない」。日本政府筋は東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を受けた中国硬化を例に挙げ、「数日や数週間で解決するものではないだろう」と身構えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する木原稔官房長官=17日午後、首相官邸

2025年11月18日 07時02分


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