解散直前、自民が政活費1億円超=森山氏に支出、改革公約と裏腹―24年の政治資金収支報告書



総務省は28日、2024年の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)を公表した。それによると、使途公開の必要がない「政策活動費(政活費)」として、自民党本部が同年10月の衆院解散直前、森山裕幹事長(当時)に1億3000万円を支出していたことが分かった。

政活費は政党が政治家個人に渡す資金。政治家に使い道を公開する義務はなく、「裏金の温床」と問題視されてきた。自民派閥裏金事件を巡る批判をかわすため、石破政権(当時)は衆院選で政活費改革を公約した経緯があり、「政治とカネ」を巡る自民の姿勢が改めて問われそうだ。

24年10月1日に就任した石破茂首相(当時)は9日に衆院を解散した。報告書によると、自民は解散2日前の7日に3000万円、翌8日に1億円の政活費を森山氏に支払っていた。7日は石破氏が衆院本会議の代表質問で「政活費の将来的な廃止も念頭に取り組む」と表明した日だった。

石破氏はその後の選挙戦で、政活費について「選挙に使うことはない」と明言。選挙後には「選挙運動のための支出は行っていない」と説明している。森山氏が何に使ったかは分かっていない。

衆院選敗北を受け、石破氏は政活費廃止を速やかに実現すると表明。24年12月の改正政治資金規正法成立により、26年1月からの政活費廃止が決まった。ただ、与野党協議のさなかの11月25~29日にも自民は森山氏、坂本哲志国対委員長、松山政司参院幹事長、石井準一参院国対委員長(いずれも当時)に計1億3400万円を支出していた。

岸田政権時代も含めた24年中の自民の政活費支出を集計すると、総額は前年比43.8%減の4億7830万円だった。森山氏の2億3380万円に次いで、前任の幹事長だった茂木敏充氏の1億2200万円が多かった。

総務相に24年の収支報告書を届け出たのは2910団体。支出総額は前年比16.3%増の1041億7000万円(100万円未満を四捨五入、以下同)、収入総額は同2.9%減の937億4900万円だった。政党本部の支出総額は同21.5%増の779億6100万円、収入総額は同0.4%減の687億1500万円だった。

都道府県選管所管の地方分の収支報告書は各地で別途公表された。

【時事通信社】 〔写真説明〕公開された2024年の政治資金収支報告書=26日、東京・霞が関の総務省

2025年11月28日 17時51分


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