
教員など、子どもと接する仕事に従事する人の性犯罪歴を調べる「日本版DBS」で、こども家庭庁の有識者検討会は22日、犯歴確認の対象事業や業務の範囲を盛り込んだ指針案をまとめた。従業員が3人以上の学習塾なども任意で制度に参加する。休日に児童・生徒と二人きりで会うなど、性暴力につながりやすい「不適切な行為」についても整理し、学校現場などで活用を促す。
日本版DBSは、現職の教員や採用予定者らについて、事業者が戸籍情報を用いて性犯罪歴の有無を法務省に照会する制度。犯歴が見つかれば採用を見送ったり、子どもと接しない業務に配置転換したりする。DBSの創設を盛り込んだ児童対象性暴力防止法は来年12月25日に施行予定。こども家庭庁は指針案を関係省庁会議に諮った上で、近く正式決定する。
同法で犯歴確認を義務付けているのは、小中高校や幼稚園、認可保育所、児童養護施設など。指針案は従業員が3人以上の学習塾やスポーツクラブ、放課後児童クラブ、認可外保育所なども任意で犯歴を確認できるようにした。参加する事業者には「認定マーク」を付与し、一定の安全性をアピールできるようにする。
教員や保育士などの職種は一律に犯歴確認の対象となる。一方、学校や塾の事務職員、送迎バスの運転手、教育実習生などは子どもと継続的に接する可能性があるかどうか、実態を踏まえて判断する。仕事や家事の空き時間に働く「スポットワーク」も要件を満たせば対象とする。
不適切な行為については、子どもと二人きりで会うほか、(1)連絡先を交換し私的にやりとりする(2)私物のスマートフォンで撮影する(3)必要以上に抱き締める―ことなどを例示した。各事業者で何が不適切な行為に該当するかを議論し、服務規律などに定めるよう求める。疑わしい事案が発生した際の対応フローもまとめた。
【時事通信社】
〔写真説明〕有識者検討会であいさつする黄川田仁志こども政策担当相(左から2人目)=22日午後、こども家庭庁
2025年12月22日 15時54分