「戦える国」へ、脱米依存=兵役再開に若者戸惑い―独



【ベルリン時事】ドイツで2011年に停止した兵役が今年から部分的に再開した。志願制を原則とするが、人員が不足すれば徴兵する。ウクライナに侵攻を続けるロシアの脅威が高まる一方、トランプ米政権は欧州批判を先鋭化させる。安全保障面での米国依存を脱し、「戦える国」への変化を強いられている。

「若者は自分の住む国の安全保障にどう貢献できるか決めねばならない」。ドイツのピストリウス国防相は、自発性を強調しつつも兵役参加を呼び掛けている。街では路面電車の一部が迷彩柄に塗装されるなど、独軍の求人広告が目立つ。

戦後ドイツは米国の庇護(ひご)下、ナチス政権による侵略の反省や、東西に分断された冷戦の記憶から、軍備拡大に消極的だった。ウクライナへの兵器供与は「相当なためらいと複雑な感情」(独シンクタンク)に直面。停戦後のウクライナへの派兵には慎重姿勢を崩していない。徴兵の即時実施に対しては、国民から拒絶反応も出た。

しかし、ウクライナ侵攻とトランプ政権の「米国第一」主義を目の当たりにし、昨年3月に国防費を政府借り入れの制限から除外する改憲を断行した。一部の専門家からは、米国の核の傘に代わる独自の核保有論すら聞こえてくる。

若者は戸惑いつつ、新しい現実と向き合い始めている。ベルリンで教員を目指すドゥク・グエンさん(19)は「死にたくないし、誰も殺したくない」と兵役に反対の立場だ。一方で「代わりに他の誰かが行かねばならないのなら、自分のことだけ考えるのは違うとも思う」と揺れている。

「突然日常から引きはがされて戦地に駆り出されることは、人ごとではないと気付かされた」と話したのは大学生のパトリチア・ラメックさん(22)。勉学の傍らで兵役に関心を持ち、昨秋に独軍の窓口を訪ねた。こうした兵役志願者は既に増えており、国防省によると、昨年の採用実積は前年から約2割増えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕ドイツ軍の施設で射撃訓練を行う新兵ら=2025年11月13日、西部アーレン(AFP時事) 〔写真説明〕ドイツのピストリウス国防相=2025年12月5日、ベルリン(EPA時事)

2026年01月04日 07時02分


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