AIてこに協力深化へ=米中意識、ASEANと「共創」―政府



政府が、人工知能(AI)をてこに、東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力を深めようとしている。狙いは成長市場の取り込みだけではない。日本企業約1万社が進出し、サプライチェーン(供給網)の要衝でもある同地域との関係強化が、経済安全保障上不可欠なためだ。AI分野で影響力を急拡大する米中への加盟国の警戒感が強まる中、日本は「共創」を掲げ、挽回を図る。

11カ国で構成されるASEANは、国内総生産(GDP)が計約4兆ドルで、2027年には日本を追い抜くと予想されている。日系企業が多く進出し投資してきたが、近年では米中の投資マネーが流入。資源も豊富な地域だけに、経済的な結び付きを維持・強化する必要性が増している。

こうした中、政府は昨年10月、協力の方向性を「日ASEAN・AI共創イニシアティブ」として打ち出した。各国の社会課題に応じ「安全、安心で信頼できるAI」の活用で協力。現地の言語や文化に応じたAIモデルの研究開発の支援も行う。この領域での日本企業の海外展開も促す。

「チャットGPT」を開発したオープンAIやグーグルを擁する米国、アリババ集団などを中心に追い上げる中国。両国は最先端のAIモデル開発などで優位に立つ。ある経済産業省幹部は「モデルやデータセンター投資で日本は米中とは競えない」とこぼす。

一方で「米中勢は、面的にサービスを拡大し、利用者がそれに合わせるよう求める」(別の経産省幹部)傾向にあるといい、そこに活路を見いだす構えだ。同省の補助金を活用し、AIを使った日本とタイのビジネスマッチングサービスを開発したココペリの近藤繁最高経営責任者(CEO)は、「日本は相手のニーズをくんだサービスの作り込みに強みがある」と自信を深める。

加盟各国には、覇権争いを繰り広げる米中に過度に依存することへの懸念もある。防衛やインフラにも応用が可能な先端技術については、自国由来の開発比率を高めたい意向も強い。長年、現地財閥と協力関係を築き、技術・ノウハウを共有し雇用も創出してきた日本企業への信頼が強みとなりそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕2025年10月26日、クアラルンプールで東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議に出席した高市早苗首相(中央)(AFP時事)

2026年01月14日 23時08分


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