地域に能力発揮の場を=女性にエール「完璧でなくていい」―横田広島知事・国際女性デー



昨年11月に就任した広島県の横田美香知事(54)が3日までに時事通信のインタビューに応じた。全国で歴代8人目、現職では3人目の女性知事だ。地方から女性が都市部へ流出する課題について、「地域で能力を発揮できる職場が必要」と指摘。女性たちには「完璧でなくていい。まずやってみて」とエールを送る。

―どのような幼少期を。

広島の農村地帯で、「女の子だから」というようなことは言われず、ひとつ下の弟と同じように育った。とはいえ地域の集まりでは男性は座って酒を飲み、女性は料理をしている。当時9歳くらいだったが、ショックで泣いた記憶がある。

―前職の農林水産省で思い出深い仕事は。

食品安全などの国際ルール作りに携わった。海外の出席者と関係を築き、しっかり日本の言い分を主張できたのはいい経験だった。ただ、欧米は出席者の半分が女性なのに、日本はほとんど男性。大きなギャップを感じた。

―農水省時代、男女格差を感じたことは。

少数派である女性は評価されづらいと思っていた。男性は競争、女性は協調と、重視するものが違うと感じる。女性は発言の内容を気にするが、男性は発言者に注目しがち。性別にこだわらず多様な考えが生きる仕組みになるのが理想だ。

―知事選立候補を打診されたときの気持ちは。

ためらいはなかったが、考えた。農水省を辞め、これからどう生きていくのかと。知事の仕事についてはチャンスであり、自分はしっかりとやりきれると思い、決断した。

―やりたい仕事がなかったり、「男は仕事、女は家庭」といった価値観が根強かったりすることへの不満から若い女性が都市部へ流出している。

「女だから」とか「男らしく」と言われて育つとそうした性別役割分業の意識が根付く。誰もが自分の能力を発揮できるよう、まず地域の企業に意識を変えてもらいたい。

すぐできることとして、テープカットなどの式典で男性がずらりと並ぶ風景を変える。実際には女性も働いており、女性も並ぶべきだ。男女とも活躍している姿をちゃんと見せていくことが大事。女性である私が働く姿を見て、勇気づけられる人がいるならうれしい。

―目立ったり、リーダーになったりすることをためらう女性もいる。

まずやってみてほしい。必ず成長につながる。「女性だから昇進した」などと言う人もいるかもしれないが、気にしなくていい。男性だって全員が能力があるわけではない。完璧でなくていい。

◇横田美香さんの略歴

横田

美香さん(よこた・みか)広島県呉市出身。父親の仕事の関係で小5から中3までブラジル・リオデジャネイロで過ごす。東大法卒。95年農林水産省入省、経営局就農・女性課長、富山県副知事、広島県副知事を経て25年11月広島県知事。

【編集後記】横田さんとは彼女が農水省参事官だった頃に取材を通じて知り合った。「ジェンダーギャップについてずっと考えてきた人生だった」と話す来し方にはいろいろあったのだろうが、周囲の目は「全然気にならない」という強さと軽やかさが広島県の行く先を照らしそうだ。最後に「頑張ります」ではなく「頑張りましょう」と語った真っすぐな目に、身が引き締まった。(時事通信経済部記者・藤田綾)。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える広島県の横田美香知事=1月27日、東京都港区 〔写真説明〕国際女性デー2026 〔写真説明〕インタビューに答える広島県の横田美香知事=1月27日、東京都港区

2026年03月04日 07時05分


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