
【ニューヨーク時事】米連邦準備制度理事会(FRB)次期議長への指名が決まったウォーシュ元理事の金融政策のスタンスを巡り、金融市場の見方が割れている。過去の発言には金融緩和に前向きな「ハト派」と、慎重な「タカ派」が入り交じり、市場は身動きが取りにくい状況だ。ウォーシュ氏が唱えるFRBの資産縮小はタカ派の政策で、金利上昇を招く可能性があるため警戒感もくすぶる。
2006年にFRB理事に就任したウォーシュ氏は金融危機下でバーナンキ議長(当時)の右腕として、国債購入を通じ資産規模を増やす「量的緩和」に賛同。ただその後、インフレの高進懸念から量的緩和に反発、11年に理事を辞任した。
ウォーシュ氏は昨年、米シンクタンクのインタビューで、債務膨張や物価高につながると主張し、平時の量的緩和を改めて批判。「実際に危機に陥った時、(FRBの対応が)度を越すだろう」と警鐘を鳴らした。その上で、資産縮小に伴いインフレが和らぎ、「利下げが可能となる」と持論を展開した。
トランプ大統領がウォーシュ氏を次期議長に指名すると発表して以降、債券市場では国債の売り買いが交錯する場面が目立ち、長期金利に大きな変化がない。同氏が「ハト派かタカ派か見方が拮抗(きっこう)している」(日系証券)ことが背景にある。
一方、資産縮小は金融環境の引き締め効果を持ち、住宅ローン金利上昇や株価下落といった副作用が生じ得るため、市場には抵抗感が少なくない。秋の中間選挙をにらみトランプ氏が目指す、物価全般の「アフォーダビリティー(手頃な価格)」の実現とも矛盾する。物価上昇率の高止まりが続く中、同氏が求める大幅利下げも難しい。
ここ最近のウォーシュ氏は沈黙を守っており、金融政策の展望を巡り「一定の不透明感」(米金融大手)が残る。自説とトランプ氏の要求にどう折り合いをつけるか、議会公聴会での証言に注目が集まる。市場からは「うまく立ち回るだろう」(先の日系証券)との声も聞かれる。
【時事通信社】
〔写真説明〕ウォーシュ元米連邦準備制度理事会(FRB)理事=2014年12月、ロンドン(EPA時事)
2026年02月05日 08時03分