
衆院選で各党が消費税減税を競う中、その財源として政府の外国為替資金特別会計(外為特会)に注目が集まっている。過去の円売り・ドル買い介入で積み上がった外貨準備の運用益や円安で膨らんだ含み益はこれまでもたびたび、「埋蔵金」として熱い視線が注がれてきた。だが、実際に活用するには課題が多く、現実的でないと指摘されてきた経緯がある。
外為特会は、為替の急変動に対応する介入のために設けられた。資産に当たる外貨準備高は2025年末時点で1兆3697億ドル(約210兆円)に上り、大半は米国債で保有されている。ドルを買うための円資金は政府短期証券を発行し、市場から借りる形で調達する。外貨資産の利子収入から円建て負債の利払い費を差し引いた運用益などが毎年度の剰余金となる。近年は円安などの影響で運用益が膨らみ、24年度は過去最大の5兆3603億円の剰余金が生じた。
今回の衆院選では、国民民主党が積極財政の財源として外為特会を例示している。高市早苗首相も1月31日、応援演説の中で外為特会に言及。「運用が今ホクホク状態だ」と述べ、円安効果で外為特会には資金的余裕が生じているとの認識を示した。
剰余金は、現行ルールでは最大7割を一般会計に繰り入れ可能だ。ただ、既に毎年度の歳入穴埋めに使われており、新たな財源確保の余地は乏しい。経済官庁幹部は「減税を続けるなら財源を確保しないといけない。それをせずに外為特会でというのはモラルハザード(倫理の欠如)だ」と苦言を呈する。
外為特会が抱える外貨資産の円換算額は円安で膨らんでおり、その含み益を活用すべきだとの声もある。24年度決算では資産から負債を差し引いた額が約80兆円に上り、うち約50兆円は為替差益によるものだ。
ただ、活用するには外国債などの保有資産を売却し、得た外貨を円に交換する必要がある。これは事実上の為替介入であり、外債売却で債券市場の混乱も招きかねない。米政府の反発は必至で、同意を取り付けるのは容易ではない。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「円安で膨らんだ外貨準備の含み益は、決して使うことができない『埋蔵金』だ」と指摘する。
【時事通信社】
〔写真説明〕演説する高市早苗首相(自民党総裁)=1月31日、川崎市
2026年02月04日 08時46分