
【ワシントン時事】トランプ米政権はイランに対する海上封鎖を米東部時間14日(日本時間15日)から再開すると表明した。戦闘終結に向けて米国とイランが6月に署名した覚書をほごにした形で、停戦は崩壊の危機にある。
トランプ大統領は覚書を「偉大な合意」とたたえていた。しかし、13日に出演したラジオ番組では、「(イランを)テストするために作られたものだ。大した意味はない」と吐き捨てるように語った。さらに、イラン中部ナタンズに近いピックアックス山にあるとされる核施設を「破壊するだろう」とも述べ、攻撃を強化する可能性を示唆した。
戦闘終結の覚書は、60日間の交渉期間で核問題を含む最終合意を目指す内容。イランが原油輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖を解除し、米国もイラン港湾に対する海上封鎖を中止することなどが盛り込まれていた。
だが、ホルムズ海峡の管理権を主張するイランは、覚書署名後も同国が指定するルートを通らない商船に対して攻撃を継続。これに対して米軍は報復攻撃を繰り返してきた。最終合意に向けた両国の交渉も停滞している。
トランプ政権は事態打開のため、イランに軍事面、経済面で圧力をかけて譲歩を迫る方針で、米中央軍は今月7日以降、攻撃の強度を高めてきた。同軍は13日、3日連続でイランを爆撃。トランプ氏は「あす(14日)も激しくたたく」と作戦継続を警告した。また米財務省は7日、イラン産原油の取引を一時的に容認する措置を撤回した。
米国による海上封鎖が再開されれば、イランは覚書によって得た恩恵を失い、戦闘終結の交渉は振り出しに戻ることになる。ニューヨーク・タイムズ紙は「新たな攻撃がイランの判断を変えるとは考えにくい」と指摘。ホルムズ海峡を巡る衝突がエスカレートする恐れもある。
【時事通信社】
〔写真説明〕ホルムズ海峡近くを航行する船舶=13日、アラブ首長国連邦(UAE)東部沖(AFP時事)
2026年07月14日 20時31分