
熊本県内で最大震度7が観測された地震では、患者の命を守る医療機関も被災した。発生当時11人が入院していた産婦人科「まつばせレディースクリニック」(宇城市)も大きな被害を受けたが、全員を無事転院させ、その後に出産報告が相次いだ。田中博明院長(49)は「皆さんを救えて良かった」と安堵(あんど)している。
1日約150人が外来に訪れ、年間約800人が出産する同クリニック。同市を襲った震度7の揺れについて、田中院長は「10年前の地震より大きく感じた」と振り返る。
地震発生時、田中院長は出産前の患者を診療しており、とっさに患者のおなかを守るように覆いかぶさった。クリニックには出産直前や直後の入院患者を含め、30人以上がいた。
建物入り口の屋根や廊下の壁が崩れ、天井にも亀裂が走った。「すぐに避難しなければ」。棚からの落下物でけがをしたスタッフもいたが、何とか全員が外に避難した。
しかし出産は延期ができず、一刻を争う対応が必要となる。すぐに熊本市内の病院に連絡し、発生から約5時間で入院患者全員の転院を終えた。
転院後に出産した女性からは「精いっぱいの対応をしてくださった」などと感謝する言葉も届けられた。かかりつけの患者約700人のうち、出産が近い妊婦を中心に、受け入れ可能な病院を紹介したという。
被害を免れた建物を使って一部診察は再開したが、出産に伴う手術などの再開時期は未定のまま。被災したスタッフも少なくない。田中院長は「かかりつけの患者も多く、一日でも早く通常通りの診察に戻したい」と力を込めた。
【時事通信社】
〔写真説明〕取材に応じるまつばせレディースクリニックの田中博明院長=4日、熊本県宇城市
〔写真説明〕地震で屋根が崩落した正面玄関=7月28日、熊本県宇城市(まつばせレディースクリニック提供)
〔写真説明〕地震で建物の外に避難した入院患者ら=7月28日、熊本県宇城市(まつばせレディースクリニック提供)
2026年08月19日 07時03分