AI、70年越しに本格普及=競争加速、脅威論も台頭―社会・経済に地殻変動



人工知能(AI)という言葉が生まれて約70年。米国の地方都市で示されたアイデアは今、本格的な普及期を迎えている。数次のブームを経て、技術は飛躍的に向上。人間の指示に自然な言葉で応答し、多くの知的作業も代替する。社会・経済構造に地殻変動をもたらす技術革新として開発競争が加速する一方、AIが暴走する「脅威論」も台頭している。

◇発端はダートマス会議

「学習のあらゆる側面、知能のあらゆる特徴は機械で再現できるよう精密に記述できる」。1956年夏、米東部ニューハンプシャー州で、ジョン・マッカーシー氏ら4人の研究者が唱えた仮説を出発点にAI開発を目指す「ダートマス会議」が開かれた。研究課題は言語を扱うプログラムや機械自身の「自己改良」など七つ。大規模言語モデル(LLM)や機械学習など現代のAI技術の礎となった。

60年代にピークを迎えた第1次AIブームでは、問いへの答えを導き出す「推論」や、複数のパターンから最適な手順を調べる「探索」の研究が熱を帯びた。世界初の対話型AI「ELIZA(イライザ)」が開発されたのもこの頃だ。

ルール学習に力を注いだのが第1次なら、80~90年代ごろの第2次ブームでは知識の教え込みに専念。医療診断など専門分野を支援する「エキスパート(専門家)システム」が登場し、日本も国費を投じて「第五世代コンピュータ・プロジェクト」を立ち上げた。

ただ、人間が膨大なルールや知識を教え込むことには限界がある。人間なら自然に使える感覚的な言葉に対応し切れず、複雑な問いへの回答も苦手。記憶・処理するコンピューターの性能も不十分で、AI開発は「冬の時代」に入る。

◇肉体労働も代替可能に

2000年代以降の第3次ブームのベースにあるのは、コンピューターとインターネットの普及だ。ゲームに使われる画像処理半導体(GPU)が膨大なデータを同時に並列処理できる特性を利用し、AIが自ら学びと改善を重ねる深層学習に応用。画像識別や言語モデルの技術開発が加速した。

それに続く第4次ブームは、22年に米オープンAIが公開した生成AI「チャットGPT」が火を付けた。人間同士の対話のように抽象度が高い問い掛けにもスムーズに応答できるAIがスマートフォンで扱えるようになり、画像や動画も短時間で自動的に作れるようになった。

現在、AIは自律的に仕事をこなす段階にある。人間の知的労働を代行する「AIエージェント」に加え、ロボットなどの「フィジカルAI」の開発が進み、AIが肉体労働を担う未来も間近に迫る。AIの誤回答「ハルシネーション(幻覚)」に対しても、推論技術を磨き上げることで回答精度は向上し続けている。

◇「超知能、開発減速を」

一方で、最先端のAIが暴走し、サイバー攻撃を仕掛けるといった問題が相次いで発生。AIエージェント専用のSNS「モルトブック」で、AIが人間に反抗心を見せたことも話題となった。人間の知能を超える「超知能」への脅威が台頭し、開発ペースの減速や規制の強化を訴える声も高まっている。急激な技術の進展をどう制御し、AIとどのように共存していくか。人間は未知の課題を突き付けられている。

【時事通信社】 〔写真説明〕対話型AI(人工知能)「チャットGPT」のロゴ=2025年9月、ドイツ西部フランクフルト(AFP時事)

2026年09月24日 08時00分


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