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輸入停止、6カ国・地域で継続=安全性説明も懸念拭えず―原発事故から10年



東京電力福島第1原発事故を受け、東アジアを中心とする6カ国・地域が現在も福島県など一部地域の食品や農産物に対する輸入停止措置を続けている。日本政府は科学的な根拠に基づいて安全性を説明し、規制の撤廃を訴える。しかし、懸念を拭い去るには至っておらず、信頼回復の難しさが浮き彫りになっている。

農林水産省によると、事故後に輸入規制を導入したのは54カ国・地域。10年間で大半は緩和・撤廃されたものの、依然として中国と香港、マカオ、台湾、韓国、米国が一部地域からの輸入を受け入れていない。いずれも農産物の主要な輸出先であり、全体への影響も大きい。野上浩太郎農水相は「規制の撤廃に向け、あらゆる機会を捉えて粘り強く働き掛けていく」と決意を示す。

◇中国、新潟米のみ再開

中国は、福島や宮城など10都県産の食品輸入を停止。緩和の動きも、安倍晋三首相(当時)が訪中した翌月の2018年11月に新潟県産米に限って輸入再開を認めて以降、2年以上にわたって途絶えている。

農水省幹部は「(対中輸出には)大きな可能性がある」と意欲を見せる。昨年春に調整されていた習近平国家主席の来日に合わせて新たな規制緩和が実現するとの期待も高まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い来日は延期。両国首脳の往来は当面困難で、振り出しに戻った形だ。

◇福島の桃ジュースは人気

日本産食品の人気が高い香港も状況は変わらない。昨年の農林水産物・食品の香港向け輸出額は16年連続でトップを維持する一方、福島県産の野菜や果物などの輸入停止は続く。日本貿易振興機構(ジェトロ)香港事務所の高島大浩所長は「(東北産の)食品購入を控える動きが相次いだ」と指摘。対策として「レストランや小売業者を対象に除染の進展など安全性のPRを重ねた」と強調する。

規制の対象外であるコメや加工食品は好評だ。福島県産のモモのジュースは店頭に並べばすぐに売り切れる状態で、日本酒もバイヤーの間で1番人気だ。それでも懸念はくすぶっており、県産米「天のつぶ」を百貨店で販売した時は、産地を気にして購入を見合わせる客もいたという。女性会社員(23)は「汚染が心配なので、規制がなくなっても買わない」と語った。

◇規制緩和の動きも

一方、輸入規制が緩和・撤廃された国・地域では徐々に消費者が戻りつつある。シンガポールは昨年1月、停止していた福島県産食品の輸入を条件付きで解禁。地元の日系スーパーなどでは、同県産の日本酒や特産品の干し柿「あんぽ柿」が棚に並べられていた。

輸入再開に合わせ、放射性物質が基準値を下回っていることを示す検査報告書と産地証明が添付されるようになったことも安心感につながっているようだ。市民からは「政府が許可したのなら問題はない。毎日大量に食べるわけではないし、気にしていない」(70代女性)との声が聞かれた。(北京、香港、シンガポール時事)。

【時事通信社】 〔写真説明〕シンガポールのスーパーで売られている福島県産あんぽ柿=2月10日、シンガポール 〔写真説明〕スーパーに並ぶ福島県産の日本酒「奥の松」など=2月22日、シンガポール

2021年03月01日 15時52分


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