ロシア国防省は31日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝チャシフヤールを制圧したと発表した。チャシフヤールは高台に陣地が築かれた町で、昨年春からロシア・ウクライナ両軍の激しい攻防が続いていた。
チャシフヤールは、2023年にロシアの民間軍事会社「ワグネル」が捨て身の作戦で陥落させた激戦地バフムトの西に位置する。ロシア軍がこの高台を占拠することで、さらに西方にあるコスチャンチニフカやクラマトルスクなどの都市が危険にさらされることになる。
ただ、ウクライナ国防省系サイトは同日時点で、チャシフヤールの一部に両軍いずれが支配しているか未確定な地域があるとしている。ウクライナ軍関係者は自国メディアに「状況は数カ月前と同じだ」と述べ、ロシア側の主張に反論した。
ロシアのプーチン政権はウクライナの「中立化」など所期の目標達成を諦めず、3年ぶりに再開した直接協議では東・南部4州からのウクライナ軍撤退を迫った。仲介したトランプ米政権が制裁前倒しを示唆して対ロ強硬路線にかじを切りつつある中、攻勢を強めて交渉で優位に立つ狙いがあるとみられる。
ロシア軍は30日夕から31日未明にかけ、ウクライナ各地にミサイル8発やドローン300機以上による空爆を実施。現地メディアによれば、首都キーウで6歳の男児を含む少なくとも13人が死亡、130人以上が負傷した。
【時事通信社】
〔写真説明〕ウクライナ東部ドネツク州チャシフヤール郊外で、ロシア軍を砲撃する兵士(ウクライナ軍が22日提供)(AFP時事)
2025年08月01日 12時41分