北朝鮮、「ハノイのトラウマ」で慎重か=対トランプ氏、中ロ後ろ盾に様子見



【ソウル時事】米韓合同軍事演習を縮小させ、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に秋波を送るトランプ米大統領に対し、与正党総務部長は対話の余地を残しつつも、冷淡な反応を示した。正恩氏は2019年2月のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が決裂し、面目丸つぶれになった「トラウマ」がある。中ロの後ろ盾を得ている現在、慎重に米国の真意を見極めているとみられる。

与正氏は19日、トランプ氏が指示した米韓演習縮小について「評価する価値もなく全く興味を感じない」と一蹴。同時に、正恩氏がトランプ氏に対し「個人的に良い思い出と感情を持っている」とも言及した。

19年の首脳会談で北朝鮮は、北西部・寧辺の核施設廃棄と制裁解除を取引する合意を想定していたが、トランプ氏の一存で決裂。激怒した正恩氏は、会談を取り仕切った党統一戦線部の幹部を問責し、更迭した。「帰りの列車内で与正氏以外の幹部全員を殴打した」(元韓国政府高官)という情報もある。正恩氏だけでなく、外務省などの官僚にも、トランプ氏との対話に容易に踏み込めない心理があるのは想像に難くない。

その後、北朝鮮はロシアに接近し、24年に「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結。与正氏は19日、「同盟締約国としての義務に無限の責任を負っている」と強調した。今年6月には中国の習近平国家主席が訪朝。中ロとの緊密な関係により、制裁はかなりの部分が骨抜きになっているとされ、米国と交渉する動機は以前より薄くなっている。

韓国の金東葉・北韓大学院大教授は「与正氏は、米朝対話が既成事実化する雰囲気にくぎを刺そうとした」と見る。

一方で、北朝鮮の安全と国際社会での地位を保証できる国は事実上米国だけだ。北朝鮮が古くから関係があるイランへの支持を表明していないなど、統一研究院の洪※(※王ヘンに民)・先任研究委員は「トランプ氏に気を使っている」と分析。「米朝関係は駆け引きの局面に入った」と指摘した。

核保有を「不可逆的」と位置付ける北朝鮮は、米国が非核化を求める立場を放棄するかどうかを注視するとみられる。対イラン軍事作戦の泥沼化で立場が弱くなったトランプ氏が妥協しそうだと判断すれば、まずは実務協議で腹を探ろうとする可能性がある。

【時事通信社】 〔写真説明〕ハノイで会談する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(肩書は当時、左)とトランプ米大統領=2019年2月(AFP時事)

2026年08月21日 07時00分


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