
関西電力が原発の新設に向けた調査を近く開始することについて、地元の福井県美浜町では経済効果に期待する声が上がっている。一方、原発活用を巡っては未解決の難題が残されており、慎重な意見も聞こえてくる。
美浜町議の一人は「もっと早い方が良かった」と、調査開始を歓迎する。調査期間中はもちろん、新設が決まれば工事に伴うさまざまな経済的な恩恵を受けられるからだ。さらに、国から県と町に毎年計1億4000万円、その後の環境影響評価に入れば10年間で最大51億5000万円の交付金が見込まれる。
美浜原発の近くで農業を営む70代男性は「事故さえなければ、ありがたい話だ」と、前向きに受け止めている。ただ、近隣の宿泊施設は減っているといい、「調査に来る人の宿泊による経済効果は期待できない」とも話した。
一方、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地が決まらず、使用済み核燃料の再処理工場も完成延期を繰り返しており、原発推進に対する不安は払拭されていない。別の美浜町議は「処分場が決まっていない中で新しい原発は考えられない」と批判した。
〔写真説明〕関西電力美浜原発=2024年4月、福井県美浜町
2025年11月04日 08時06分