
「ロシア初」と銘打ったAI(人工知能)搭載のヒト型ロボットがモスクワでお披露目されるや否や、数秒後に転倒する珍事があった。動画はSNSで世界に拡散。ウクライナ侵攻を続けるプーチン政権は制裁下で西側諸国に頼らない「技術主権」を掲げるが、ロシア国民はその達成度に疑問を抱いている。
ロボットの名称は「Aidol(アイドル)」。11日の発表会で映画音楽「ロッキーのテーマ」が流れる中、おぼつかない足取りで登場した。立ち止まって右手を振った際に体勢を崩し、ステージ上に顔面から落ちた。後ろに控えたスタッフ2人がロボットを抱きかかえ、黒幕で覆い隠されて中断した。
国営通信社は失敗に触れず、やり直して二足歩行に成功した様子を報じた。それでもトラブルはSNSで知れ渡り、地元メディアは「ロボットは酔っ払っていない。暗いステージで歩くことを学んだだけだ」という開発責任者の自虐的なコメントを紹介した。
開発チームによると、国産部品は約8割で、輸入部品も使用している。将来的に人間に代わって「工場や物流部門のほか銀行や空港といったサービス部門で働く」可能性を視野に入れているという。ただ、有力紙・独立新聞はロボット分野を含めて「輸入から国産への代替は予想以上に困難だ」と指摘した。
〔写真説明〕転倒するAI(人工知能)搭載のヒト型ロボット「Aidol」=11日、モスクワ(EPA時事)
2025年11月17日 12時27分