実質GDP、6期ぶりマイナス=年1.8%減、米関税で輸出不振―7~9月期



内閣府が17日発表した2025年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で1.8%減だった。マイナス成長は24年1~3月期以来、6四半期ぶり。トランプ米政権が4月以降に発動した高関税措置の悪影響が本格化し、輸出が落ち込んだ。

内需の柱である個人消費は0.1%増。猛暑の影響で飲料が伸びたほか、外食や鉄道利用なども増加した。一方、自動車や衣料の販売は低調だった。

設備投資は1.0%増と4四半期連続のプラス。ソフトウエアやパソコンなどへの投資が増えた。

住宅投資は9.4%減と大幅なマイナスに陥った。4月の省エネ基準への適合義務化を受け、3月までに生じた駆け込み需要の反動減が生じた。統計上、工事の進捗(しんちょく)ペースに応じて計上されるため、7~9月期GDPで反動減の影響が顕著になった。公共投資は0.1%増。民間在庫の変動がGDPの増減に与える影響(寄与度)はマイナス0.2%だった。

輸出は前期比1.2%減と2四半期ぶりにマイナス。米国を主要市場とする自動車が落ち込んだほか、化学製品、汎用(はんよう)機械も減少した。統計上は輸出に計上されるインバウンド(訪日客)消費もマイナスに転じた。輸入は、原油や天然ガスなどが減り、0.1%減となった。

GDPの増減に与える寄与度は内需、外需はともにマイナス0.2%。物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.1%増、年率0.5%増だった。

先行きについて、第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは「自動車メーカーによる関税コストの価格転嫁が進むことで、輸出は一段の下振れリスクがある。消費など実体経済の足取りも鈍く、景気は力強さに欠ける状態が続く」とみている。

〔写真説明〕16日、東京・銀座エリアの建設現場(AFP時事)

2025年11月17日 16時41分


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