カナダ、対米依存の低減目指す=貿易多角化を模索―カーニー首相就任1年



【ニューヨーク時事】カナダのカーニー首相就任から1年が経過した。この間、自国第一主義を掲げるトランプ米政権の圧力への対処に追われ、最大の輸出先である米国の高関税政策は、カナダ経済に打撃を与えている。カーニー氏は対米依存の低減を狙い、アジアを中心に積極外交を展開し、貿易の多角化を模索している。

対米輸出の減少が響き、2025年の実質GDP(国内総生産)は前年比1.7%増と、20年以来の低い伸びにとどまった。カナダは全体の輸出の7割近く、輸入の5割程度が米国向けだ。米国のカナダからの輸入品の大半は、北米3カ国による貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」によって関税が免除されているものの、特に鉄鋼・アルミニウム、自動車、木材関連産業は高関税の逆風を受け、雇用や投資の縮小を余儀なくされている。

トランプ氏は経済的優位性を背景に、カナダは「米国の51番目の州になるべきだ」などと挑発を繰り返す。カーニー氏は米政権の関税政策に苦言を呈しつつ、「中堅国」の結束を訴える。こうしたカーニー氏の対米姿勢への国内支持率は高い。

同氏は一国依存からの脱却を目指し、「今後10年間で米国以外への輸出を倍増させる」と宣言。先月末から今月上旬には、インド太平洋3カ国を歴訪した。世界最大の人口を誇るインドとは経済連携協定の締結方針を確認。エネルギーを中心に市場開拓を目指す。日本に対しては重要鉱物や液化天然ガス(LNG)を供給できる強みを生かし、経済安全保障などでの協力を強化した。

中国との関係改善も図る。1月には中国製の電気自動車(EV)とカナダ産農産物に対する関税を相互に引き下げることで合意した。

ただ、多角化を進めたとしても、同盟国である米国が最重要の貿易パートナーであることに変わりはない。製造業の米国内回帰を訴えるトランプ氏は、7月の見直しが定められているUSMCAについて不満を述べており、2年目のカーニー首相も米国との距離感に悩まされそうだ。

〔写真説明〕米ホワイトハウスで会談するカナダのカーニー首相(左)とトランプ米大統領=2025年10月(EPA時事)

2026年03月16日 18時02分


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