
【ワシントン時事】米イスラエルとイランの交戦に伴う原油供給の混乱が止まらない。要衝ホルムズ海峡では依然として船舶の航行が制限されるなど、海峡を「武器化」するイラン側の抵抗で油価高騰が長期化。インフレ圧力も高まっており、世界経済の先行きに影を落としている。
イランは交戦開始から1カ月、船舶への攻撃や機雷敷設への言及など威圧を強めてきた。トランプ米大統領は26日、「イランが合意に応じれば、海峡は再び開かれる」と強調する一方、「機雷が敷設されていないかどうか、確信が持てない」とも吐露。海峡の航行は滞らざるを得ない状況だ。
米イスラエルによる攻撃前に1バレル=60ドル台半ばで推移していた原油の国際指標である米国産標準油種WTIは一時119ドルまで急騰。日米欧など国際エネルギー機関(IEA)加盟32カ国・地域が過去最大規模の備蓄石油の協調放出を決めたが、供給不安は拭えず、相場は高止まりしている。
イランは世界の原油輸送の約2割を占めるホルムズ海峡を事実上封鎖する一方、非敵対国の船舶については通過を認めると表明。中国やインド、パキスタンの船舶が航行を再開したとされる。ただ、米メディアなどによると、イランは一部船舶に対して海峡の通航料の徴収を始めたが、最大200万ドル(約3億2000万円)に上るとも言われ、市場の安心材料にはなっていない。
停戦に向けた双方の溝は深く、合意に至るかは未知数だ。ホルムズ海峡の開放を求める米国に対し、イランは海峡での主権を掲げる。対米協議の主導役とされるガリバフ国会議長はSNSで「われわれの国土を守り抜くという決意を試そうとするな」とけん制した。
経済協力開発機構(OECD)は26日、イラン情勢を踏まえた最新の経済見通しで、20カ国・地域(G20)の今年の平均インフレ率を4.0%と昨年12月時点から大幅に上方修正。世界経済の成長を下押しするとして、戦闘長期化に警鐘を鳴らした。
米政権はイランのエネルギー施設への攻撃をカードに圧力を強めるが、「世界経済の要衝の支配」(ベセント米財務長官)によって抵抗するイランを前に、さらなる混迷が現実味を帯びている。
〔写真説明〕ホルムズ海峡を通過する貨物船やタンカー=2月25日、アラブ首長国連邦(UAE)東部フジャイラ沖(AFP時事)
2026年03月28日 07時11分